松尾鉱山
下半身だけのマネキンの
横を通って。
その先にあったのは
共同浴場だった。
しかし浴槽にしては深い。
横倒しになった脱衣所のロッカー。
差し込む光は
あの頃と同じだろうか。
一番高いところにある棟へと
向かう。
人の気配はない。
しかし、人は確かに
ここに存在した。
長い長い時間が、この場所から
人の存在を消していく。